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ECサイトのユーザー評価ワークショップに参加して思ったこと

UX KOBE Vol.3「ユーザー評価(観察法)」

2014/4/19 13:00-18:00 デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)

先日神戸で「ユーザー評価」のUXデザインワークショップに参加してきました。

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三宮の駅周辺で書籍「タイポさんぽ」に出てくる味楽の看板を見つけてテンションあがる図。今回はワークショップ自体の内容よりも、終わったあとに考えたことが多めに書かれています。

ワークショップについて

ユーザー評価のワークショップ参加は実は2回目です、なのでワークショップの内容はそちらの方が詳しく書いています(前回記事はこちら)。

今回のお題は、とある企業のECサイト

ECサイトとは

自社の商品を、独自運営で販売するサイトのこと。例を挙げると 無印良品ネットストア や FrancFrancオンラインショップ など。

まず架空のユーザー(ペルソナ)を設定し、テストのためにユーザーの文脈(コンテキスト)に沿ったシナリオを書きます。ゴールは サイト内で欲しいものを選び、支払い配送方法なども含め購入完了する に設定しました。

シナリオ自体「うまく書けるようになるには三年かかる」なんて言われてますが…今回、妙にECサイトに誘導するような文面になってしまいました。講師の浅野先生からも「な〜んか誘導シナリオすぎないかぁ?これ」と言われる始末w

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指摘を受けて一部書き直したシナリオで、ユーザビリティテストを実行。エクストリーム1名とノービス2名で実施し、問題点をまとめ当日の予定はなんとか完了したのですが…なんだかもやもやは晴れず。

で、懇親会で他の参加者の方と話していて、そのもやもやの正体に気づきました。

「サービス提供側はECサイトをつくることにメリットはあるけど、ユーザーがこの企業のECサイトを使うメリットって?」

天下のAmazon楽天など、ショッピングモール型サイトがこれだけ乱立している世の中で、「そのサイトで買う価値」をユーザーの文脈で感じ取れなければECサイトって成立しづらいですよね。

私もおそらくネットでこの商品を買うとすれば、まずは慣れ親しんだamazonで探して他の日用品と一緒に購入しようとすると思います。

つまりはじめに書いたシナリオでは、ユーザーがECサイトを使用する動機だったりモチベーションが、制作者の思い入れが透けた誘導っぽいシナリオだったんです。

ネットでものを買うユーザーの動機

リアル店舗でもなくamazonでもなくECサイト(通販系)でものを購入するトリガーとしては、下記のようにいくつかの価値要素があると思います。

ブランド

競合他社にはないブランド独自のストーリーや価値をユーザーが認めており、多少の金銭的犠牲や手間を払ってでも手に入れたいもの。

(価値の例.大好きなブランド、希少価値の高いアンティーク家具を取り扱うセレクトショップなど)

送料を含めても、そのサイトで買うと市価より安い、または増量セットなどでお得になる。

よくある事例では独自のポイントシステムがありますが、ECサイトでは購入トリガーとしては少し弱いと思います。私自身、最終的にマイレージや大手ポイントシステムに変換できないポイントにはあまり価値を感じないので…

日常での手間をカット出来る仕組み。大きい、重いなど物理的に手間なものの配送。

早い

思い立ってから、短時間で素早く手に入れることが出来る。これはまだ例外的ですかね…現段階ではまだリアル店舗に出向く方が早い場合が大半だと思います。が、直にイノベーションが起こることで「早い」を価値として掲げるサービスも増えてくるでしょう。

実は、今回お題となっていたECサイトは、「ブランド」「得」などの点についてもきちんとわかりやすく説明されているページがありました。

しかしテストをしてみると、ユーザーは驚くほどそのページに気づかずに通り過ぎて行きました。目的のページも見つけられずさまよい、困惑の表情を浮かべています。(そして私も、同じグループの方に教えてもらうまでそのページは気づきませんでした)

原因は何でしょうか?

いくつか考えられますが、その中には「直感的にユーザーが通る導線には入口が用意されていない」だったり「特集バナーの文字サイズや配色」だったり…、制作現場のグラフィックデザイナーやプログラマでも対処可能な問題だったのです。

UXデザインというと企業戦略的なマクロな視点で語られることも多く「一デザイナーの自分にどこまで出来るのだろう?」と途方に暮れる場面もあるのですが、まずはHCDの観点からコンテンツの評価をきちんと行うこと。結果をきちんと分析し、今出来る範囲で最大の対策を打つこと。それがUXデザインを実現するための第一歩だと感じました。

先生曰く「ユーザー評価が下手だろうが上手かろうが、実施したサービスは必ず良くなる」とのこと。なるべくプロジェクトに早期導入して、小規模に失敗を繰り返して上手くなっていけば良いと思います。

さいごに

自分の専門分野以外でのユーザー評価は、改めてタッチポイントや予期的UXについて改めて考えるきっかけとなりました。シナリオはもっと書く練習しないとだめだな…次回は、今回得られた生理行動データと発話データをもとにNE比を算出します。

ユーザー評価で大事なのは、作り手の主観をはずし、ペルソナの主観でコンテンツを再評価すること。これが自然にできるようになれば、そのコンテンツはより良いものになっていくでしょう。

…と、ちょうどタイムリーにコンセント長谷川氏のブログでECサイトのUXデザインについても触れている記事がアップされました。こちらも是非。

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当日の他の方のブログ(見つけた範囲のみ)

情報デザイン研究室 http://asanoken.jugem.jp/?eid=2988

ma9no http://ma9no.com/?p=323